スイッチの設定をしている中で、「トランクポートにPCを接続しても通信できない」ということは知っていましたが、なぜそうなるのかという理由までは深く理解していませんでした。
実際にVLANの設定を業務で行っていたときに、ふとこの点が気になり、改めて仕組みを調べてみたところ、なるほどと思う部分が多かったので、備忘録もかねてこの記事にまとめています。
「トランクポートにPCを接続しても通信できない理由」について、同じように疑問を持たれている方の参考になれば幸いです。
トランクポートとは?
トランクポートは、スイッチ間やスイッチとルーターなどのネットワーク機器同士を接続するためのポートで、複数のVLANのトラフィックを一度に流すことができます。トランクポートは「タグ付きフレーム(802.1Q)」を使用して、どのVLANの通信かを識別しています。
トランクポートの主な用途は以下の通りです:
- スイッチ間でVLAN情報を共有する
- ルーターとのVLAN間ルーティング用の接続
PCが通信できない理由
PCは通常、単一のVLANに所属する「アクセスポート」に接続することを前提に設計されています。アクセスポートは、タグ付けされていない(アンタグ)フレームを扱います。
一方、トランクポートはタグ付きフレームを送受信します。そのため、PCがトランクポートに接続されると、タグ付きフレームを正しく処理できず、通信ができなくなります。これが、PCがトランクポート経由でネットワークに接続しても、通信できない主な理由です。
PC側でタグ付フレームを扱う方法
一部のPCやサーバーでは、NIC(ネットワークインターフェースカード)の設定でVLANタグを扱うことができます。この場合、以下のような設定が必要です:
- NICのVLAN設定を有効にする
- 特定のVLAN IDを指定する
ただし、一般的な利用ではこのような設定は行わず、PCはアクセスポートに接続するのが基本です。
正しい対処法
PCをネットワークに正しく接続するためには、以下の対応が必要です:
- スイッチ側でPC接続用ポートを「アクセスポート」に設定する
- 接続するVLANを適切に指定する(例:VLAN10)
- PCのIPアドレス設定がVLANのネットワークと一致しているか確認する
設定例(Ciscoスイッチの場合):
interface FastEthernet0/1
switchport mode access
switchport access vlan 10
まとめ
トランクポートは複数のVLANの通信を中継するためのものであり、PCのようなエンドデバイスを接続するには適していません。PCは通常、アクセスポートを通じて1つのVLANに接続する必要があります。
トランクポートにPCを接続しても通信できない場合、まずはポートの設定を確認し、アクセスモードに変更することで解決できるケースが多いです。
VLANの基本や設定方法についても詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
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